シンガポールに来星して早5年目。以前の職場にはアンティー(おばちゃん)もいっぱいいてたくさん可愛がってもらった。シンガポールのアンティーはいい意味でおせっかい。相手にとっていいだろうと思ったことは何でもしてくる。朝ごはんは食べない派なんだ、と私がアンティーに話すと翌朝自分のデスクの前にはホーカーで買ったであろう朝食が置かれていた。シンガポールにはおいしいご飯がたくさんあるからちゃんと朝も食べなさい、とのことだった。

そんなお世話焼きなシンガポールのアンティーに耳が痛くなるほど言われたのが、「冷たい水は体に悪いから白湯を飲みなさい」。おそらくこれは筆者だけでなくシンガポールにある程度住んでいる方であればわかる話かと思う。
ただこのアドバイス、美容そして体にとてもいいので侮れないのである。
・毎日いっぱい寝ても疲れが取れない
・食事制限しているのに痩せない
・肌荒れがひどい
上記のうち一つでも該当するものがある方は是非下を読み進めていただきたい。
冷たい水が好きな日本人

日本のレストランで食事をする際、ぬるい常温の水が提供されたらどう思うだろうか。一瞬えっと感じる方が多いと思う。それくらい日本人からすると、飲み水=冷たい水が定着している。これほどまでに日本人にとって冷たい水が当たり前になったのには様々な理由があるとされているが、一つには水道水の独特なにおいを消すためとも言われている。
お湯(温かい水)を飲むということは私からすると「考えられない」行為だった。生まれてこの方、病気になったとしても飲むのは常温の水かポカリスエット。お湯を飲んだことなんて今まで記憶にはなく、自分と同年代のシンガポール人の同僚が白湯を飲んでいるのを見たときは衝撃を受けた。
冷たい飲み物はNGな中華系

シンガポーリアンに白湯を飲むことを勧められた、と言っているが正しく言うと「中華系シンガポール人」のアンティーにしかいわれたことがない。ご存じの方も多いかもしれないが、中華系の方はとにかく冷たい飲み物を飲みたがらない。若者はそうでもないが、年配の方はほぼ100%といっていいくらい温かい飲み物を好む。
中国では昔から漢方といった伝統医療が根付いていて、冷たい飲み物は内臓の機能を低下させると信じられている。そんな内臓さえしっかりしていれば健康でいれると言われているのでとにかく内臓に優しい温かい飲み物を飲む。シンガポール人の約75%を占める中華系の方々も例外ではなくこの考え方通り温かい飲み物を好む傾向にある。
白湯が美容・健康に効果的な理由

そもそもなぜ体に不調を感じたり病気になったりするのか。
私たちが普段食べているものは胃や腸を通過しながら体内にて消化・吸収される。しかし内臓の動きが鈍くなっていると、食べ物は十分に消化されず体の中に未消化物として残ってしまい、血管やリンパ管を圧迫し毒素となる。これが不調や病気の原因。そして白湯にはこういった問題を解決してくれる力があるのだ。では実際に白湯にはどんな効果があるのか紹介していきたい。
1. 代謝がよくなる
白湯を飲むことで胃や腸が温まり新陳代謝が上がる。また胃や腸が刺激されることにより便通もよくなる。さらに血の巡りもよくなるので内臓の温度も上がり痩せやすい体に変えることができる。
2. デトックス効果
腸内の動きが活発になり、老廃物を流してくれるのでデトックス効果にも期待ができる。普通の水よりも利尿作用も高まるのでむくみなどの解消にもつながるのだ。
3. 冷え性対策
シンガポールでは無縁かと思うかも知れないが、ショッピングモールの中は寒く、さらに夜はエアコンをつけっぱなしで寝ている方が多い。体は気づかぬうちに冷えているのだ。なんと体温が1度下がるだけで人の免疫力は10%下がると言われている。白湯を飲むことで胃腸がダイレクトに温まるので冷え性対策になり、免疫力の維持もできるとされている。
4. 疲労を取り除く
毎日8時間ほど寝ているのに翌日疲れが取れない。この原因は体で消化できない未消化物。体の中にたまった未消化物の重さが疲労感につながっているとされている。白湯を飲むことで未消化物を解消し、疲労を取ることが期待できる。
5. ダイエット
年齢を重ねて、体の肉が落ちにくかったり、自然と体重が増えていったりするのは筆者だけではないはず。原因は年齢ではなく、消化力が弱まり未消化物が溜まっているから。胃腸がしっかり温まっていて食べたものをしっかり燃やせる体になっていれば余分な脂肪がたまる心配はない。
白湯の作り方

さて、ここで白湯の作り方について触れておきたい。え、ポットで水を沸騰させて作るんじゃないの?と思った方。実はそれは「白湯」ではないのです。こちらが「白湯」のレシピ。
- 水をやかんに入れてコンロにセット
- 沸騰したら蓋を取り弱火で10-15分沸かし続ける
- すすって飲めるようになるまで冷ませば完成
重要なのはしっかりと火を使って沸騰させること。電気ポットやウォーターサーバーの温かい水は白湯とは呼ばない。ただし冷たい水を飲むよりは全然いいので、お湯を沸かせる状況になければそちらでもいいかもしれない。ちなみにやかんがなければ鍋で沸かせても大丈夫だ。

白湯に適した水は「純粋な水」。水道水には様々な物質が入っているが煮沸すればある程度そういったものは除去されるので問題ない。すすって飲める温度とは大体50度前後。あまり熱すぎてもやけどをする可能性があるので熱ければ良いというものでもない。
理想の飲み方は一杯のコップを10分ほどかけて飲む方法。ゆっくりと、白湯を飲むときはリラックスしながら飲んでみてほしい。最初はあまりおいしく感じないもしれないがそれは体の中の毒素のせい。飲み続けていくうちにおいしく飲めてくるのでご安心を。
白湯を飲んで健康維持

今まで白湯を飲むことなんて考えたこともなかった筆者だが、最近は冷たい飲み物をできるだけ避けるようにしている(ビールは不可避)。最近は割とどこでもウォーターサーバーが置かれているところが多いので、そこでは水のお湯割り(水1:お湯3)を作って飲むようにしている。
この健康維持法の良いところは実質ほぼ無料だということ。大量のサプリを飲む必要もなければジムに行って汗を流す必要もない。ただいくら白湯が体にいいからと言って白湯を大量に飲むのは良くないのでご注意を。目安は一日800ml(コップ5杯)とされている。
一番飲んでほしいのが寝起き直後。寝ている間、胃や腸は気づかない間に冷えている。そんな体に温かい白湯をゆっくり15分ほどかけてじっくり飲むと体がゆっくり温まっていくので、体もゆっくり目覚めていきます。
このシンプルな健康維持方法、本当に楽なので是非試してみて。
参考文献:朝の一杯 白湯を飲むだけ健康法
著:蓮村誠